電子商取引とは、電子的なNetwork上でおこなう商取引全般のこと、定義としてはまぁこうなんですが、もうちょっと詳しく経緯からまとめ。
1.電子商取引の起源
電子商取引の起源としての電子データ交換EDI(Electronic Data Interchange)と言う概念があります。
EDI とは、コンピュータ同士を通信回線でつなぎNetworkを形成し、その上でDigital化された(商)取引のデータを交換すること、またはその技術の ことです。「Digital化された」という部分は「コンピュータに入力された」あるいは「コンピュータ上で表現された」などと言い換えてもよいでしょ う。
取引のデータとしては発注データや納品データ等があります。EDIはこれらをNetworkを介して交換することから始まりました。
このためには、どのような手順でデータ伝送をおこなうのか、ということを決める必要がありました。
例えば、
・データ伝送にどの通信回線を使うのか。
・伝送を開始する合図はどうするのか。
・伝送速度はどのぐらいか。
・伝送を終了する合図はどうするのか。
等です。
これらが決められたものを「通信Protocol」と呼びます。
2.EDIの黎明期
EDI の黎明期においてはそれぞれの企業が独自にこれら通信Protocolを採用していました。その結果各企業は取引先ごとに相手のデータ伝送方式に対応した 端末を導入しなければならない、またそれぞれのデータ形式(Format)を変換しなければならない、などといった事態に陥りました。これを「多端末現 象」といいます。特に中小企業においては幾つもの専用端末を導入、管理しなければならないという経費面での問題ばかりでなく、専用端末であるがゆえ取引先 への技術的依存をおこし、取引あるいは経営における意思決定において劣勢にたたされることになってしまいました。
3.付加価値通信網VAN(Value Added Network)の登場
この状況はVAN事業者の登場によって改善されるます。付加価値通信網(VAN)とは、その事業者がEDIにおけるProtocol・Format変換などを含めたデータ処理を加入企業に提供することです。
付加価値とはつまりProtocol・Format変換などをおこなうことでした。
このようなVAN事業者の登場によりEDIは多数のVAN事業者により提供される同業種、業界内(主として製造・卸売間)での電子データ交換である業界EDI(または業界VAN)へと発展してゆきます。
そして業界EDIでは通信Protocolやデータ形式等が標準化されて行きました。
「標準化」とは同種または同一の機能を持ちながら方式の相違によって互換性のない規格・手順・機器等を同一方式に統一し一般化することです。
また業界EDIが地域を限定しない業界内でのデータ交換を指向したのに対して、地域に密着した異(多)業種、卸・小売店間のデータ交換である地域流通EDIの取り組みも始まりました。
4.データ交換からメッセージ交換へ
こ こまでEDIは文字通り「電子データ交換」として発展してきました。つまり交換しているのはあくまで、取引上のデータ(数値)だでした。つまり取引自体、 あるいは取引を表す買取注文・納入通知等、また交換データが何に関わっているのかを定義するメッセージ(情報)の交換は直接対面、または電話のような既存 の通信手段によっておこなわれていました。
そして自然な流れかもしれませんが、業種・業界・国境を越えてこれらをも交換しようという要求が生じてきます。
そ のためにはそれらのメッセージが企業・業界・国境を越えて完全に同一の意味を表現していなければなりません。このために、例えばただ「注文」といった場合 でも、ある企業・業界・地域では「仮注文」であるのが別のところでは「確定注文」であったりすることがあり得ます。このようなメッセ-ジの意味を当事者の 合意にもとづいて標準化する必要があります。この標準化されたメッセージを標準メッセージと呼びます。
CII標準(CIIシンタックスルール)がこれらの標準化の成果として上げられます。
5.Open-EDI(開放的環境下にあるEDI)
各種標準化の手順を経て広く一般化されたEDIはこれまで企業・業界間等に限定されていた閉鎖的性格を変えてゆくことになります。標準化された通信Protocol・標準メッセージを用いれば企業・業界・言語に壁を越えた取引が可能になるからです。
そして最終的には取引のシナリオ化(ビジネスシナリオ)を指向します。取引のシナリオとは各業界・文化圏ごとに異なる制度・慣行に基づいた取引の方法を手順として登録したもので、それを参照し納得すればどんな取引方法をとる相手とでも取引が可能になると言う理想です。
そのための枠組みとして作られたのが、JIS X 7001:1999「標準電子取引参照モデル(Open-edi reference model)」です。
6.Web-EDI Internetへの移植
デ -タ交換からメッセージの交換さらには単なる情報交換技術から社会的基盤技術への様相を呈してきたEDIですが、Internetへの移植によりさらに開 放的なものとなってゆきます。これはWebブラウザを利用したもので、従来専用のNetworkと独自の通信Protocol上で実現してきたEDIを、 インターネットの標準ProtocolであるTCP/IP(transmission control protocol/internet protocol)に乗せ変えたものです。
7.再び電子商取引EC(Electronic Commerce)とは何か
改めて電子商取引を考えれば「以上のようなEDIを基礎技術とし商取引をおこなうこと」ととらえることが出来ます。
参考文献
大田可允 著:「EDI(電子商取引)入門」中央経済社 (1995/4/25)
1.電子商取引の起源
電子商取引の起源としての電子データ交換EDI(Electronic Data Interchange)と言う概念があります。
EDI とは、コンピュータ同士を通信回線でつなぎNetworkを形成し、その上でDigital化された(商)取引のデータを交換すること、またはその技術の ことです。「Digital化された」という部分は「コンピュータに入力された」あるいは「コンピュータ上で表現された」などと言い換えてもよいでしょ う。
取引のデータとしては発注データや納品データ等があります。EDIはこれらをNetworkを介して交換することから始まりました。
このためには、どのような手順でデータ伝送をおこなうのか、ということを決める必要がありました。
例えば、
・データ伝送にどの通信回線を使うのか。
・伝送を開始する合図はどうするのか。
・伝送速度はどのぐらいか。
・伝送を終了する合図はどうするのか。
等です。
これらが決められたものを「通信Protocol」と呼びます。
2.EDIの黎明期
EDI の黎明期においてはそれぞれの企業が独自にこれら通信Protocolを採用していました。その結果各企業は取引先ごとに相手のデータ伝送方式に対応した 端末を導入しなければならない、またそれぞれのデータ形式(Format)を変換しなければならない、などといった事態に陥りました。これを「多端末現 象」といいます。特に中小企業においては幾つもの専用端末を導入、管理しなければならないという経費面での問題ばかりでなく、専用端末であるがゆえ取引先 への技術的依存をおこし、取引あるいは経営における意思決定において劣勢にたたされることになってしまいました。
3.付加価値通信網VAN(Value Added Network)の登場
この状況はVAN事業者の登場によって改善されるます。付加価値通信網(VAN)とは、その事業者がEDIにおけるProtocol・Format変換などを含めたデータ処理を加入企業に提供することです。
付加価値とはつまりProtocol・Format変換などをおこなうことでした。
このようなVAN事業者の登場によりEDIは多数のVAN事業者により提供される同業種、業界内(主として製造・卸売間)での電子データ交換である業界EDI(または業界VAN)へと発展してゆきます。
そして業界EDIでは通信Protocolやデータ形式等が標準化されて行きました。
「標準化」とは同種または同一の機能を持ちながら方式の相違によって互換性のない規格・手順・機器等を同一方式に統一し一般化することです。
また業界EDIが地域を限定しない業界内でのデータ交換を指向したのに対して、地域に密着した異(多)業種、卸・小売店間のデータ交換である地域流通EDIの取り組みも始まりました。
4.データ交換からメッセージ交換へ
こ こまでEDIは文字通り「電子データ交換」として発展してきました。つまり交換しているのはあくまで、取引上のデータ(数値)だでした。つまり取引自体、 あるいは取引を表す買取注文・納入通知等、また交換データが何に関わっているのかを定義するメッセージ(情報)の交換は直接対面、または電話のような既存 の通信手段によっておこなわれていました。
そして自然な流れかもしれませんが、業種・業界・国境を越えてこれらをも交換しようという要求が生じてきます。
そ のためにはそれらのメッセージが企業・業界・国境を越えて完全に同一の意味を表現していなければなりません。このために、例えばただ「注文」といった場合 でも、ある企業・業界・地域では「仮注文」であるのが別のところでは「確定注文」であったりすることがあり得ます。このようなメッセ-ジの意味を当事者の 合意にもとづいて標準化する必要があります。この標準化されたメッセージを標準メッセージと呼びます。
CII標準(CIIシンタックスルール)がこれらの標準化の成果として上げられます。
5.Open-EDI(開放的環境下にあるEDI)
各種標準化の手順を経て広く一般化されたEDIはこれまで企業・業界間等に限定されていた閉鎖的性格を変えてゆくことになります。標準化された通信Protocol・標準メッセージを用いれば企業・業界・言語に壁を越えた取引が可能になるからです。
そして最終的には取引のシナリオ化(ビジネスシナリオ)を指向します。取引のシナリオとは各業界・文化圏ごとに異なる制度・慣行に基づいた取引の方法を手順として登録したもので、それを参照し納得すればどんな取引方法をとる相手とでも取引が可能になると言う理想です。
そのための枠組みとして作られたのが、JIS X 7001:1999「標準電子取引参照モデル(Open-edi reference model)」です。
6.Web-EDI Internetへの移植
デ -タ交換からメッセージの交換さらには単なる情報交換技術から社会的基盤技術への様相を呈してきたEDIですが、Internetへの移植によりさらに開 放的なものとなってゆきます。これはWebブラウザを利用したもので、従来専用のNetworkと独自の通信Protocol上で実現してきたEDIを、 インターネットの標準ProtocolであるTCP/IP(transmission control protocol/internet protocol)に乗せ変えたものです。
7.再び電子商取引EC(Electronic Commerce)とは何か
改めて電子商取引を考えれば「以上のようなEDIを基礎技術とし商取引をおこなうこと」ととらえることが出来ます。
参考文献
大田可允 著:「EDI(電子商取引)入門」中央経済社 (1995/4/25)